再生医療について
私たちの身体は自己修復する力を持っており、皮膚が傷ついた時や捻挫、打撲などの怪我をしても、しばらくすると自然に治ります。
再生医療は、ダメージを受けた組織に対して、身体が本来持ち合わせている回復能力を引き出すための治療法です。
薬物•リハビリテーション・手術療法に代わる第4の治療の選択肢として注目されています。
PRP療法について
PRP療法は、再生医療の一つです。血小板は血を止める機能を担うことで知られていますが、それだけではなく、傷んだ組織の修復を促す成長因子と呼ばれる物質が含まれています。このような血小板が持つ傷んだ組織の修復を促す力を借りて行う治療がPRP療法です。
2010年頃から欧米では靭帯損傷、肉離れ、腱炎などスポーツで生じるけがの治療に応用されており、メジャーリーグでも実績のある田中将大投手や、大谷翔平投野手が治療を受けたことで、日本でもPRP療法が注目されるきっかけになりました。
治療では、まず患者さん自身の血液を遠心分離し、血小板を多く含む血漿(血液中の液体成分)を抽出します。この血小板を多く含む血漿のことをPRP(Platelet-Rich Plasma:多血小板血漿)といいます。PRPを患部に注入し、痛みの軽減や損傷した組織の修復を図ります。
PRP療法は、傷んだ組織の修復を促したり、関節の炎症を抑制したりする効果が期待できますので、ヒアルロン酸注射などで痛みが改善しない方、様々な事情で手術療法は避けたいと考える方にとって、保存療法と手術療法の間の治療法として有効だと考えられています。
PRP療法は自分の血液を用いた治療ですので、薬物のように副作用を起こすことが少なく、安全に受けていただくことができます。
PFC-FD療法とは
PFC-FDとはPRPから濃縮した成長因子のみを抽出し、フリーズドライ化したものです。
血小板は、血管が損傷したとき損傷した場所に集まって止血をする働きがあります。その際に多量の成長因子を放出しますが、この成長因子には組織修復のプロセスを開始する働きがあります。
血小板の放出する成長因子を使って、治りにくい組織の修復を促し、早く組織修復を促す方法がPFC-FD療法です。
2024年4月から、PFC-FD(2.0)の使用が可能になりました。
PFC-FD(2.0)は従来のPFC-FDに比べて、成長因子の含有量が多く、組織修復に貢献すると考えられています。
PFC-FD(2.0)の導入にともない、PFC-FDの価格が引き下げられ、PRP治療がより手頃になりました。
対象となる疾患
- 変形性膝関節症
- 上腕骨外側上顆炎(テニス肘)
- 上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)
- 膝蓋腱炎(ジャンパー膝)
- 足底腱膜炎
- アキレス腱障害(アキレス腱炎・腱周囲炎)
- 肉離れ(筋不全断裂)
- 肘・膝・足関節 靭帯損傷
- TFCC損傷
- 膝半月板損傷
- 肩腱板損傷
PRP療法が受けられない方
- がんと診断を受けていて現在治療中の方
- 生物学的製剤または免疫抑制剤を使用している方
- 患部に細菌感染を伴っている方(ヘルペスなども含む)
- 膠原病の既往のある方
- 血液疾患を有する方
- 血小板数の異常がある方
- 妊娠されている方
治療の流れについて
- 血液を49mL静脈より採取します。
- セルソース株式会社に血液を搬送し、PFC-FDを作製します。
- PFC-FDの作製には3週間を要します。
- PFC-FDを患部へ注入します。
費用
種類 | 料金 |
---|---|
PFD-FD | 121,000円(税込) |
PFC-FD(2.0) | 165,000円(税込) |
※感染症検査(HIV、HBV、HCV、梅毒、HTLV-1)で陰性の方のみ提供が可能です。血液検査の結果加工作業ができないとなった場合は血液検査代金 (15,000円)のみご負担をお願いいたします。